第8回開催 季里賞
実験 ARおうち花火大会
信濃毎日新聞社(日本)
作品概要
新型コロナウイルス感染拡大の影響で長野県内でも多くの花火大会が中止となってしまったことを受け、夏の風物詩を届けたいという思いを込め実施。
残念ながら中止となってしまった花火大会の代わりとしてではなく、「新しい生活様式」が求められる「ニューノーマル」時代に新しい花火の楽しみ方の提案となるよう「AR花火」という手法を選択した。
紙面のQRコードを読み込み、特設サイトにアクセスをし、起動したカメラをラッピング表面にかざすと、ARでCGの花火が打ちあがる。
花火のBGMには長野県出身のピアニストによるユニット「いろのみ」の曲を採用。
表面の背景は70年以上の歴史を持ち打ち上げ数4万発以上で全国最大級の花火大会である「諏訪湖祭湖上花火大会」の打ち上げ会場である諏訪湖の夕暮れ。
コピーの「離れることで、見えたもの」には、新型コロナウイルス感染拡大の影響による移動の規制やソーシャルディスタンスの確保によって離れてしまった距離と、花火は離れて見えることにより全体像が見え美しさを再認識することを掛け、離れてしまったことによって見えたものを大切にして欲しいという思いを込めた。
受賞コメント
この度はこのような賞をいただき、光栄に存じます。
当企画は2020年4月の緊急事態宣言以降、多くの人が外出控えなどで失った「あたりまえの日常」の大切さを感じている…。この時代背景をうまく広告企画に取り入れ、かつ読者の心が少しでも前向きになるように、という思いからスタートしました。この場をお借りして当企画に携わってくださったみなさま、紙面を手に取っていただいた多くの方々に御礼申し上げます。
審査員コメント
2020年、地域の人が楽しみにしていた諏訪湖の花火大会は中止になりました。
壁に貼った見開き新聞紙の、諏訪湖の写真をスマホで見ると次々と花火が打ち上がります。仕掛けは簡単だけど、何だか楽しい!。今までの思い出も蘇ります。大切なのはリアリティではなく一体感。「今年も花火大会に参加したね、ARで。」という共通の記憶。「新聞」という伝統的メディアと、簡単操作の「AR表現」の合わせ技で、「おうち」にいても家族や地域の人々と何らかの繋がりが生まれる素敵な提案です。地域×メディア×テクノロジーから生まれるコミュニケーションの可能性を感じました。(季里)