第1回開催 作品部門グランプリ
さわっておしてゆびあそぶっく ちょんちょんちょん
tocco(日本)
作品概要
リズミカルな言葉に合わせてイラストを指で触ったり押したりして遊ぶ、赤ちゃん絵本『さわって おして ゆびあそぶっく ちょんちょんちょん』が原作のデジタル絵本です。大きな特徴は、赤ちゃんの「指さし」と「言葉の発達」の関連性に着目している点。タッチすると卵が割れたり音が生まれたり・・・わかりやすく、カラフルで目にも耳にも楽しい作品です。
受賞コメント
この度はグランプリという評価をいただき、大変光栄に思います。「さわっておしてゆびあそぶっく ちょんちょんちょん」は、赤ちゃんの指さしが言葉の発達を促すことに着目し編集された絵本をiPadアプリ化しました。タッチするたびにイラストが変化し赤ちゃんの興味を引く仕かけは出版社様から、実際の親子のナレーションによる、親子で遊んでいるような楽しい雰囲気は制作を担当したデザイナーから、アイディアが生まれました。今後も出版社様や著者様の意向を大切にしながら、デジタルならではのアイディアを盛り込んだデジタル絵本作りに取り組んで参ります。
審査員コメント
シンプルだが「楽しい!」と誰もが笑顔になれる。1、2才児でも十分、触れて遊んで楽しむことができるし、大人もまた意外な発見が可能。この“敷居の低さ”と、見る人、遊ぶ人それぞれの多様な解釈や受け取り方を許す“フトコロの深さ”こそ、デジタルえほんの真骨頂なのではないだろうか。
もしかすると幼児の方が先に操作を覚え、親や祖父母に「こうするんだよ」と教える、タブレットを囲んで多くの人たちが笑い合うという楽しい光景もあれこれ想像できる。
(精神科医/立教大学教授:香山リカ様)
選考基準の他に、個人的に関心ある“チャイルドケアリング・デザイン”、「理性の情報」と「感性の情報」の関係も勘案して、「さわっておしてゆびあそぶっく、ちょんちょんちょん」を選んだ。本作品は、小さい幼児でも簡単に出来る三拍子の指押しの操作で、「卵のからが破れて雛が生れる」、「鍵盤をタップするとピアノの音と音符が出る」などの簡単な物語を、デジタル絵本ならではの機能を働かし、明るく映像化している。
人差し指の感覚と共に、視覚・聴覚を介して脳を働かせ、この時期活発な「言語」、「象徴」、「社会的参照」などの機能の発達を加速させるチャイルドケアリング・デザインの作品と考えた。
(東京大学名誉教授/国立小児病院名誉院長:小林登様)